肉離れは「放っておいても治る」けれど、それで本当にいいのでしょうか?

1. 肉離れは自然治癒するケガです

肉離れは、スポーツをしている人だけでなく、日常生活の中でも起こりやすいケガの一つです。

走った瞬間に太ももがピキッとした、階段を下りたときにふくらはぎが痛くなった、そんな経験がある方も多いのではないでしょうか。

肉離れについてよく聞くのが、

「肉離れは放っておいても自然に治る」

という言葉です。

これは間違いではありません。

人の体には自然治癒力があり、筋肉が部分的に損傷しても、時間が経てば修復は進み、痛みも落ち着いてきます。

しかし、ここで一つ大切な視点があります。

2. 「治る」と「元に戻る」は同じではありません

肉離れが改善したと感じる基準は、多くの場合「痛みが減ったかどうか」です。

日常生活で痛みを感じなくなれば、「もう治った」と判断してしまいがちです。

ですが、

痛みがなくなった=元の状態に戻った

とは限りません。

筋肉がどのような状態で修復されたのか。

ここを見落としてしまうと、あとから問題が出てくることがあります。

3. 筋肉はねじれたまま修復されることがある

肉離れを起こすと、筋肉の中では出血や炎症が起こり、その後、修復の過程に入ります。

このとき、筋肉は必ずしも「正しい形」で修復されるとは限りません。

例えば、

・筋繊維がズレたまま

・ねじれた状態のまま

・周囲の組織と癒着した状態で

修復が進んでしまうことがあります。

これを 瘢痕(はんこん)化 と呼びます。

4. 瘢痕化と硬結がつくる“再発しやすい体”

瘢痕化した部分は、柔らかい筋肉とは性質が違います。

厚く、硬く、伸びにくい組織になります。

施術の現場では、こうした状態を 硬結(こうけつ) と表現することがあります。

硬結があると、

・筋肉がスムーズに伸び縮みしない

・動きの中で一部だけが遅れる

・負担が一点に集中しやすくなる

といった問題が起こります。

5. なぜ同じ場所を何度も肉離れするのか

「前にも同じところを肉離れしました」

この言葉は、施術の現場で本当によく聞きます。

その理由の一つが、

瘢痕化・硬結を残したまま治っていること

です。

硬くなった部分は、力が加わったときに伸びることができません。

その結果、境目の筋肉に負担が集中し、再び肉離れを起こしやすくなります。

年齢や体力の問題だと思われがちですが、

実際には「治り方」の影響が大きいケースも少なくありません。

6. 施術の目的は「早く治す」ことではありません

 

肉離れの施術というと、「早く復帰するため」「痛みを早く取るため」と思われがちです。

もちろん、それも大切です。

ですが、施術の本当の目的は、

筋肉が正しい状態で修復されるように整えること

にあります。

具体的には、

・損傷部位周辺の過剰な緊張を緩める

・筋肉の動きの方向性を整える

・血流を促し、回復しやすい環境をつくる

・周囲の筋肉との連動を取り戻す

こうしたことを、回復段階に合わせて行っていきます。

7. 動かさないだけでは回復しない理由

肉離れの初期には安静が必要な時期もあります。

しかし、必要以上に動かさない状態が続くと、別の問題が出てきます。

・筋肉が縮まる

・関節の動きが悪くなる

・回復後の違和感が残る

その結果、動き始めたときに再受傷しやすくなります。

大切なのは、

「いつ・どの程度・どう動かすか」

を見極めることです。

8. 放置しないという選択は、将来の体への投資

肉離れは自然治癒します。

ですが、治り方を整えないまま放置すると、

・再発を繰り返す

・パフォーマンスが戻らない

・年々ケガが治りにくくなる

といった状態につながることがあります。

施術を受けることは、今の痛みを取るためだけではなく、

将来のケガを防ぐための選択

でもあります。

9. まとめ:今だけでなく、これからも動ける体のために

肉離れは軽く見られやすいケガですが、

治り方次第で、その後の体は大きく変わります。

「そのうち治るから」

「忙しいから後回しで」

そうしているうちに、

治ったけれど弱い体

になってしまうこともあります。

今の痛みだけでなく、

これから先も安心して動ける体でいるために、

一度、ご自身の体の状態を見直してみてください。

柔道整復師、栄養睡眠カウンセラー
後藤康之