
施術をしていると、患者さんから
「先生、良くしてくれてありがとう」
と言っていただくことがあります。
とてもありがたい言葉で、施術者として大きな励みになります。
ですが私は、いつも心の中でこう思っています。
「体を変えているのは、私ではなく“あなたの体そのもの”なんです」と。
今日は、痛みや不調がなかなか良くならない理由と、体が本来持っている「回復する力」についてお話します。
体には「元に戻ろうとする働き」がある
人の体には、生まれつき
今の状態を少しでも良い方向へ戻そうとする働き
が備わっています。
・擦り傷が自然にふさがる
・疲れが時間とともに抜けていく
・動きにくかった関節がまた動きやすくなる
これらは誰かが体の中に入って修理しているわけではありません。
体が自分で調整し、整えようとしている結果です。
筋肉のトラブル、関節の不調、スポーツによるケガなども同じです。
最終的に状態を変えていくのは、医療機器でも薬でもなく、その人自身の体の働きです。
それでも痛みが長引くのはなぜ?
ではなぜ、「体には力がある」のに痛みが続くことがあるのでしょうか。
理由の多くは、体がうまく働けない状態になっているからです。
例えば、
・痛みをかばい続けて体の使い方が偏っている
・緊張が抜けず、力が入りっぱなしになっている
・本来動くべきところが動かず、別の場所に負担がかかっている
・休めすぎ、または動かしすぎている
こうした状態が続くと、体が整えようとする働きが発揮しにくくなります。
体は頑張っているのに、うまく力を出せない。
これが「なかなか良くならない」大きな理由のひとつです。
接骨院の施術は「直す」のではなく「働きやすくする」
私はよく道路の修復に例えてお話します。
道路が傷んだとき、実際に手を動かして整えていくのは現場の人です。
ただし、指示がなければ
・違う場所を直してしまう
・やり方が合わずかえって使いにくくなる
・途中で作業が止まる
といったことが起こります。
全体を見て
「どこから手をつけるか」
「どう進めるか」
を示す存在がいると、作業はスムーズに進みます。
体も同じです。
私の役割は「体が力を出しやすい状態」をつくること
接骨院での施術では、
・緊張しすぎた部分をゆるめる
・動きにくくなっている関節の動きを取り戻す
・負担が集中している場所のバランスを整える
・日常での体の使い方をお伝えする
といったことを行います。
これは「私が体を変えている」のではなく、
体が本来持っている働きを発揮しやすい環境をつくっているのです。
その結果、体が「これなら整えていける」と判断し、状態が変わっていきます。
回復の主役はいつも患者さんの体
施術後に痛みが軽くなったとき、
それは特別な力ではありません。
体が働きやすい条件が整い、自分の力を発揮できた結果です。
痛みがあるときこそ、自分の体を信じる
痛みが続くと、不安になります。
「もう良くならないのでは」と思ってしまうこともあります。
でも体は壊れた機械ではありません。
今も少しでも良い方向へ変わろうと努力している存在です。
その働きを邪魔せず、後押しすること。
それが私の施術の基本的な考え方です。
「先生、良くしてくれてありがとう」
その言葉をありがたく受け取りながら、
心の中ではいつもこう思っています。
「本当に体を変えているのは、あなた自身の体ですよ」と。
柔道整復師:後藤康之

