半月板損傷で手術を勧められたあなたへ

〜手術を受ける前に知っておきたい、自然回復というもうひとつの選択〜


病院で「半月板損傷」と言われ、手術を勧められた。
そんなとき、多くの方が不安を感じます。

「手術をしなければ治らないのだろうか」
「他の方法はないのだろうか」

こうした疑問を抱くのは、決して特別なことではありません。

確かに、半月板は膝の中でとても重要な働きをしており、
損傷が大きい場合や関節が動かなくなる場合には、
手術が最も効果的な選択となることがあります。

ただし一方で、膝の痛みや「コリッ」「パキッ」と鳴るような音の原因が、
必ずしも半月板そのものにあるとは限らないのも事実です。
関節のねじれや動きのリズムの乱れが主な原因であることも多く、
そうした場合には「切らずに治す」道が残されています。


手術が必要なケースと、そうでないケース

まず最初にお伝えしたいのは、
医師の診断や方針は必ず尊重することが大前提だということです。

半月板損傷の手術(切除・縫合)は、
主に次のようなケースで検討されます。

  1. 膝が引っかかって完全に伸ばせない、または曲げられない(ロッキング)
  2. MRIで明確に断裂が確認されており、断裂片が関節に挟まっている
  3. 保存療法を3〜6か月続けても、痛みや腫れが改善しない
  4. 靭帯損傷など他の構造的な損傷を伴っている

こうした場合は、手術で関節の動きを戻すことが理にかなっています。

しかし、それ以外の場合、
たとえば可動域が保たれていて、膝をまっすぐ伸ばしたり曲げたりできる状態であれば、
保存療法(手術をしない治療)でも十分に改善する可能性があります。

大切なのは、「すぐに決めないこと」。
医師の意見を踏まえたうえで、
今の膝の状態や生活の中での困りごとを冷静に整理し、
一歩引いて考えてみることが重要です。


画像だけでは判断できないこともある

MRI検査は膝の状態を知るうえで非常に有用な検査です。
しかし、画像に写る情報がそのまま痛みの原因とは限りません。

半月板は年齢とともに誰でも少しずつ変化します。
そのため、画像上で「白い線」や「影」が見えても、
それが実際の痛みにつながっていない場合も多いのです。

一方で、画像に異常がなくても、関節の動きのバランスが崩れていることで
「コリッ」「パキッ」と鳴ったり、違和感や不安定感が出ることもあります。

ですから、「画像にこう写っていたから手術」という一面だけではなく、
実際の動き方・生活上の不便さ・可動域・炎症の程度などを総合的に見て判断することが大切です。

この点でも、主治医とよく話し合いながら、
納得できる治療方針を一緒に決めていくことをおすすめします。


「長く痛みが続く=手術」ではない

整形外科では、数か月間の保存療法で改善が見られない場合、
「そろそろ手術を検討しましょう」と提案されることがあります。

これは決して間違いではありません。
実際に、断裂が大きく、半月板が関節の間で挟まっている場合には、
自然に治ることは難しいためです。

ただし、長く痛みが続く原因が「構造の損傷」ではなく、
「関節のねじれ」や「滑りの悪さ」である場合は、
動きを整えることで改善する可能性が十分にあります。

膝がしっかり伸びて曲がる、
水がたまっていない、
動かす角度によって痛みや音が変わる――
そうした特徴がある場合は、
関節のリズムが乱れていることが多いのです。


ゆらし療法という考え方

名東ごとう接骨院では、こうしたケースに対して「ゆらし療法」を用いた保存的アプローチを行っています。

ゆらし療法は、関節や筋肉をやさしく揺らすことで、
体の緊張を解き、関節のリズムを整えていく施術法です。

強い押圧や無理なストレッチは行いません。
体が自分の力でバランスを取り戻せるように、
ごくやさしい刺激を通じて自然な回復を促します。

膝の中で感じる「コリッ」「パキッ」という音も、
リズムが整うにつれて少しずつ減っていきます。
これは、関節内の圧力や摩擦が均一になり、
滑らかな動きが戻ってきているサインです。


関節のリズムを取り戻すとは

膝は単純な曲げ伸ばしの関節に見えますが、
実は同時にわずかなねじれ(回旋運動)も起こります。

このねじれの動きが乱れると、膝を動かすたびに
一瞬ズレが生じ、「コリッ」と鳴る音や違和感として感じられます。

ゆらし療法では、このズレを力で戻すのではなく、
ごく小さな揺らしの中で自然にリズムを取り戻します。
結果として、膝の動きがスムーズになり、安定感が出てきます。


保存療法の見通し

関節のリズムが整うと、歩いたときの不安定感や違和感が減っていきます。
動作中の音も徐々に小さくなり、膝の動きが軽くなっていきます。

これらの変化が現れているということは、
構造的な破綻ではなく、動きのバランスが乱れていたという証拠です。

もちろん回復のスピードには個人差がありますが、
焦らず、体の回復力を信じながら取り組むことが大切です。


医師との連携を大切に

ここで改めて強調したいのは、
医師の診断や意見を尊重することが最も大切だという点です。

手術を勧められた背景には、必ず理由があります。
そのうえで、手術以外の選択肢が残されている場合、
保存療法を試してみるという考え方も決して間違いではありません。

私たち施術者は、医療の補完的な立場として、
手術に頼らず自然な回復を目指すお手伝いをしています。

もし迷っている方がいれば、主治医とよく話し合い、
そのうえで安心して選べる形を一緒に探していきましょう。


まとめ

・手術は大切な治療のひとつであり、否定するものではない
・ロッキングや明確な断裂がなければ、保存療法で改善する可能性がある
・膝の「コリッ」「パキッ」という音は、関節の動きの乱れから起こることが多い
・ゆらし療法は、身体の緊張を解き、自然な回復力を高める保存療法
・最終的な判断は必ず医師と相談しながら進める


院長よりひとこと

手術は「どうしても動かない」「挟まっている」ときの最終手段です。
今の膝がしっかり動き、少しずつでも変化が見えているなら、
それは身体が自ら回復しようとしている証拠です。

医師の判断を尊重しつつ、
そのうえで「手術以外の方法で治せる可能性」があるなら、
それを丁寧に試していくことが、何よりも安心な道だと思います。

ゆらし療法を通して、あなたの身体が持つ力を引き出していきましょう。

柔道整復師、栄養睡眠カウンセラー  
後藤康之

【参考記事】

半月板損傷(膝の内側・外側の痛み)でお悩みの方へ