眠りの浅さが肩こりを作る

寝ても肩が重い…。それは眠りの浅さが原因かもしれません。

肩こりと睡眠の質には深い関係があります。

栄養睡眠カウンセラーの後藤康之が、浅い眠りで肩こりが悪化する仕組みと、

今夜からできる具体的な改善法をお伝えします。

「寝たはずなのに肩が重い」「朝から首が固まっている」――その原因、実は“眠りの浅さ”かもしれません。

肩こりは筋肉の問題だけではなく、自律神経と睡眠の質が深く関わります。

眠りが浅いと肩こりになりやすい理由

① ノンレム睡眠が不足すると筋肉が回復しない

深いノンレム睡眠では、成長ホルモンの分泌や筋肉修復が活発になります。ところが眠りが浅いと、この回復プロセスが弱まり、僧帽筋や肩甲挙筋など“肩こり常連筋”の硬さが翌朝まで残ります。

② 交感神経が優位なまま“夜も戦闘モード”

スマホやPCで遅い時間まで頭を使うと、交感神経がブレーキを踏めず、睡眠中も筋緊張が抜けません。夜間の歯ぎしり・食いしばりが増え、首肩の過緊張→血流低下→痛み物質の停滞、というループに入ります。

③ 浅い呼吸が首肩のインナーマッスルを固める

眠りが浅い人は呼吸も浅くなりがち。横隔膜が十分に動かず、代わりに首の筋(斜角筋・胸鎖乳突筋)が頑張ります。結果、起床時から首肩がパンパンという状態に。

セルフチェック:あなたの眠りは浅くなっていませんか?

  • 朝起きた瞬間に首肩のこわばりを感じる
  • 夜中に2回以上目が覚める/寝返りのたびに覚醒する
  • 起床後すぐにカフェインが欲しくなる
  • 寝る直前までスマホを見ている
  • 歯ぎしり・食いしばりを指摘されたことがある

3つ以上当てはまる方は「眠りの浅さ→肩こり」の影響を強く受けている可能性があります。

今日からできる“眠りの深さ”をつくる5つの工夫

1. 就寝90分前の「クールダウン習慣」

照明を落とし(間接照明が理想)、画面時間を減らします。湯舟は「就寝90分前/40℃で10分」。深部体温が下がるタイミングで眠気が来ます。

我が家でも夜は暖色系(オレンジ色)の照明に切り替えています。

白く明るい光は脳を昼間だと勘違いさせてしまうため、オレンジ色の光に変えるだけでもリラックス効果が高まり、眠りのスイッチが入りやすくなります。

2. 寝る前の“肩甲帯リセット”

ベッドの上で肩を前後にゆっくり10回ずつ回し、肩甲骨を軽く寄せて脱力。首の横(斜角筋)に手を当て、鼻からゆっくり4秒吸って6秒吐く呼吸を3セット。副交感神経に切り替えます。

3. 枕は「高さ」よりも「頸の丸み」を守る

高すぎる枕は気道と血流を妨げ、浅い睡眠の原因に。後頭部よりも、首の自然なカーブを支える薄めのサポートを意識しましょう。仰向けでは手ぬぐいをロールして頸の下に置くと呼吸が深くなります。

4. 夜の糖質・アルコール・カフェインを整える

寝る直前の甘い菓子やアルコールは睡眠の後半を浅くします。カフェインは体内に長く残るため、目安として14時以降は控えると深睡眠が増えやすくなります。

5. 「朝の太陽+首のばし」で一日をリセット

起床後にカーテンを開けて朝日を浴びると体内時計が整います。そのまま壁に手を当て、胸を開きながら首をゆっくり斜め上へ。左右各20秒×2セットで、前夜の緊張をオフにします。

施術でできること:筋肉だけでなく“睡眠の土台”を整える

院では、肩甲帯・頸部の緊張を和らげる手技に加え、呼吸を深めるための胸郭アプローチ、食いしばりに伴う咀嚼筋のケア、寝姿勢アドバイスまで含めて調整します。

特に僧帽筋という筋肉に対しては、筋肉の縁から深部に指をじわーっと沈め、時間をかけて緩めていきます。

このとき、頭から背中にかけて響きを感じる方が多く、その刺激が筋膜の奥まで届き、僧帽筋をゆるませ、痛みを改善していきます。

大事なのは「日中の力みを抜く→夜に深く眠る→朝の回復が進む」という循環を回すこと。

月1メンテナンスでも、この“回復の循環”を維持できる方が多いです。

よくある質問

Q. マッサージだけでも良くなりますか?

一時的な軽減は可能ですが、浅い睡眠が続くと再発しやすいです。施術+睡眠環境の見直し(光・音・温度・栄養)をセットで行うと持ちが変わります。

Q. 寝具は何から見直せばいい?

まずは枕の見直しと、肩口の保温。肩が冷えると筋肉は硬くなります。掛け布団の肩口を一枚足す、パジャマの襟元を見直すだけでも翌朝のこわばりが変わります。

Q. どれくらいで変化が出ますか?

個人差はありますが、就寝前のクールダウンと呼吸リセットを1週間続けると、起床時の肩の重さが軽くなる方が多いです。施術と併用するとペースが上がります。

まとめ:肩こり改善は「夜」に仕込む

肩こりは日中に感じますが、改善のカギは“夜の設計”。深い眠りが作れれば、筋肉の回復力が上がり、朝いちのこわばりを減らせます。完璧を目指すより、今夜からできる一つを静かに積み重ねましょう。行動のあとにやる気が湧く――脳の法則も、眠りと肩こりの改善にそのまま活かせます。

柔道整復師、栄養睡眠カウンセラー 後藤康之