「肩こりがつらくて頭痛まで出る」
40代女性の患者さんから、こうした声を聞くことはとても多いです。
厚生労働省の調査でも、40代女性の肩こり有訴率はトップクラス。デスクワーク、家事、ホルモンの変化、睡眠不足、そして精神的なストレス…様々な要因が重なり、慢性的な肩こり・頭痛に悩む方が後を絶ちません。
しかし、これは一般の女性だけの問題ではありません。実は――
ラグビー選手をはじめとするトップアスリートにも「肩こり」は多いのです。
アスリートも実は肩こりが多い理由
「筋肉が大きくて強いのだから、肩こりなんて無縁では?」と思われがちです。
ところが、私が豊田自動織機ラグビー部でトレーナーをしていたとき、多くの選手が「肩が重い」「頭が痛い」と訴えていました。
理由はいくつかあります👇
- 激しい練習や試合で筋肉が常に張り詰めている
- 接触や衝突に備え、無意識に肩をすくめる癖
- 精神的な緊張感やプレッシャーによる自律神経の乱れ
つまり、アスリートは体が強靭である一方で、神経は非常に繊細で敏感。トップ選手ほど、実は肩こり・頭痛に悩んでいるケースが多いのです。
「意外に優しい施術」が効果的だった
ラグビー選手の肩を触ると、「ガチガチだから強く揉まないと効かない」と思われるかもしれません。
でも実際には、強いマッサージで叩くように揉むと逆効果になることがありました。
なぜなら、筋肉は単に固まっているだけではなく、
- 引き伸ばされながら力を入れ続けている(伸長性肩こり)
- 神経が過敏になっている
というケースが多いからです。
そうしたとき、意外にも優しい手技で筋膜や神経を落ち着かせる施術が効果的でした。
「先生、軽く触られてるだけなのに肩がスーッと楽になってきます」
と驚かれる選手も少なくありませんでした。
アスリートは繊細、だからこそ肩こりになる
スポーツの世界でトップを目指す選手ほど、体だけでなく心のアンテナも敏感です。
- チームの雰囲気
- 自分のコンディションの小さな変化
- 試合へのプレッシャー
こうしたものを敏感に感じ取る力が「強さ」に繋がるのですが、同時に自律神経の緊張を生みやすく、肩こり・頭痛の原因にもなります。
これは一般の40代女性にも共通しています。
- 職場や家庭での責任感
- 周囲への気遣い
- 睡眠不足やホルモンバランスの変化
敏感で繊細だからこそ、肩や首が無意識に力んでしまい、肩こりや頭痛を悪化させるのです。
強いマッサージでは解決しない肩こり・頭痛
「肩こり=強く揉めばいい」
そう考える人は少なくありません。
しかし、伸長性肩こりやストレス由来の肩こりでは、強い刺激はかえって防御反射を起こし、症状を悪化させることがあります。
- 揉んだ直後は気持ちいい
- でも翌日には重だるさや頭痛が戻る
こうした経験をされた方も多いのではないでしょうか。
当院で大切にしていること
私(58歳・柔道整復師)は、アスリートの現場での経験と、治療院での臨床を通じて、肩こり・頭痛の本質をこう考えています👇
- 肩こりは筋肉・姿勢・自律神経・心の問題が重なったもの
- 強い刺激ではなく、体を整えるための優しい施術が効果的
- 施術+生活習慣改善(睡眠・姿勢・呼吸)が根本解決につながる
だから、施術はあえて優しく。
そして「整える」「体をリセットする」ことを目的としています。
肩こり・頭痛を解消するためのヒント
最後に、40代女性の肩こり・頭痛に役立つシンプルなヒントをいくつかお伝えします👇
- 1時間に1回は肩甲骨を動かす
背伸びや肩を回すだけでも血流が改善します。 - 寝る前のスマホをやめて深呼吸
副交感神経が働き、肩の力が抜けやすくなります。 - 「強く揉まない」セルフケア
硬い部分をゴリゴリ押すのではなく、手のひらで温めるイメージで。 - 月1回のメンテナンス
定期的に体をリセットすることで、頭痛に悩まない生活へ近づけます。
おわりに
肩こり・頭痛は「仕方ないもの」ではありません。
正しいアプローチをすれば、体も心も軽くなり、日常生活が楽になります。
アスリートであっても、40代の女性であっても、人間の体は繊細で敏感です。
だからこそ、優しい施術で整えることが一番効果的なのです。
肩こりや頭痛で悩んでいる方は、ぜひ一度「強く揉まないケア」の効果を体感してみてください。

