はじめに
「コーヒーがないと一日が始まらない」 そんな方も多いのではないでしょうか。 朝の目覚まし代わり、仕事の合間のリフレッシュ、ちょっとした気分転換にコーヒーや緑茶、エナジードリンクを手にするのは日常の一部となっています。
しかし、こうしたカフェイン飲料の摂取が「睡眠の質」に影響していることをご存じでしょうか?
この記事では、睡眠とカフェインの関係について、科学的な根拠とともに、日常生活の中で気をつけるべきポイントをお伝えします。 眠りの悩みを抱える方、もっと深く眠りたい方、健康的な生活習慣を身につけたい方にとって必読の内容です。
第1章:カフェインとは何か?その働きを正しく知る
カフェインはコーヒー、紅茶、緑茶、チョコレート、エナジードリンク、栄養ドリンクなどに含まれる天然の刺激物質で、中枢神経を一時的に活性化させる作用があります。
主な働きは次の3つです。
- 覚醒作用(眠気を覚ます) アデノシンという「眠気を引き起こす脳内物質」の働きをブロックすることで、眠気を感じにくくなります。
- 代謝促進 心拍数や血圧を上昇させ、代謝を一時的に高める効果があります。
- 集中力・運動能力の向上 勉強や仕事のパフォーマンスを一時的に高めることが報告されています。
カフェインは決して悪者ではなく、「摂取のタイミングと量」を誤らなければ、上手に付き合える優秀な成分です。
第2章:カフェインが睡眠に与える影響
では、カフェインが睡眠にどのように関係してくるのでしょうか。
1. 入眠を妨げる
カフェインが脳内のアデノシン受容体をブロックすると、本来「眠る準備」に向かう脳が、覚醒状態のままになります。 その結果、「眠たいはずなのに寝つけない」「布団に入っても目が冴えてしまう」といった状態になります。
2. 睡眠の質を下げる
たとえ眠れても、カフェインが体内に残っていると、深い眠り(ノンレム睡眠)に入りづらくなり、浅い眠りが続いてしまうことがあります。 この状態では朝起きても「眠ったはずなのに疲れが取れていない」と感じがちです。
3. 夜中に目が覚めやすくなる
カフェインの利尿作用や交感神経の刺激によって、夜中にトイレに起きたり、夢を多く見て眠りが浅くなるなどの影響も報告されています。
第3章:カフェインの「持続時間」とは?
ここで重要なのが、「カフェインの持続時間(半減期)」です。
- カフェインの半減期はおよそ4〜7時間 つまり、午後3時に1杯コーヒーを飲んだ場合、夜9時〜10時になっても体内には半分程度のカフェインが残っているということになります。
- 個人差が大きい 肝臓の代謝酵素の働き、年齢、妊娠中、薬の服用、遺伝的体質などによって、カフェインが長く体に残る人もいます。
特に「寝つきが悪い」「眠りが浅い」と感じている方は、午後以降のカフェイン摂取を控えることで改善する可能性があります。
第4章:カフェインと睡眠の関係を示す研究データ
● アメリカ・ミシガン大学の研究(Drake et al., 2013)
- 寝る6時間前にカフェイン200mg(コーヒー2杯程度)を摂取すると、
- 総睡眠時間が平均1時間短くなる
- 入眠までの時間が長くなる
- 深い眠りの割合が減る
● 日本睡眠学会「睡眠と生活習慣に関するガイドライン」
- 不眠症の人の約30%が「カフェイン摂取のタイミング」に問題があるとされています。
このように、「午後のカフェインがその日の睡眠に悪影響を及ぼす」というデータは明確に存在しています。
第5章:カフェインと上手につき合う5つのポイント
- カフェインは「午前中に楽しむ」 朝の1〜2杯程度なら、脳の覚醒にも役立ちます。午後はノンカフェイン飲料(ルイボスティー、麦茶など)に切り替えましょう。
- 惰性の夕方コーヒーは見直す 「なんとなく飲んでいる」だけなら、温かいハーブティーに置き換えるだけで睡眠の質が変わるかもしれません。
- 14時以降はカフェインNGルールを設ける まずは2週間だけでもやってみることで、自身の体感を確認できます。
- エナジードリンク・チョコにも注意 無意識にカフェインを摂っていることもあるので成分表示を確認しましょう。
- 「眠れない=コーヒーのせいかも?」と疑う習慣を 実は午後のカフェインが睡眠を妨げていたというケースは多々あります。
第6章:睡眠の質が変わると、人生が変わる
カフェインの摂取を見直し、深く質の高い睡眠を手に入れることで、私たちの心身にはさまざまな変化が現れます。
- 朝の目覚めがすっきりする
- 日中の集中力が高まる
- イライラや気分の落ち込みが減る
- 免疫力が上がる
- 食欲・ホルモンバランスが整う
私たちの体は、「眠っている間に回復する仕組み」でできています。つまり、睡眠は健康のベースです。
おわりに 〜あなたも今日から“午後のコーヒー”を見直してみませんか?〜
私自身、「栄養睡眠カウンセラー」としてさまざまな方の睡眠の悩みと向き合ってきました。 その中で感じるのは、「意外なほど多くの人が“カフェインの影響”に気づいていない」という事実です。
睡眠を変えるには、特別なサプリや高級なマットレスよりも、まず日中のカフェイン習慣を見直すことが最初の一歩かもしれません。
ぜひあなたも、今日から「カフェインと睡眠の関係」を意識して、ぐっすり眠れる夜を手に入れてください。
参考文献
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「カフェイン」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-027.html
- 日本睡眠学会『睡眠と生活習慣に関するガイドライン』https://www.jssr.jp/data/pdf/guideline_lifestyle.pdf
- Drake C, et al. (2013). “Caffeine Effects on Sleep Taken 0, 3, or 6 Hours before Going to Bed.” Journal of Clinical Sleep Medicine, 9(11):1195-1200. https://doi.org/10.5664/jcsm.3170
- Institute of Medicine. (2001). Caffeine for the Sustainment of Mental Task Performance: Formulations for Military Operations. https://nap.nationalacademies.org/catalog/10219
- National Sleep Foundation 公式サイト https://www.sleepfoundation.org
監修:柔道整復師、栄養睡眠カウンセラー 後藤康之
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