最後の大会を全力で迎えるために   中高生に多い「肉離れ」の予防と対処法

夏は、中学生・高校生にとって部活動の集大成となる「最後の大会シーズン」。


この時期、接骨院には「大会直前で足を痛めた」「試合中に太ももがブチっといった」という相談が急増します。

その中でも特に多いのが「肉離れ」です。
一度起きると完治までに時間がかかることも多く、悔しい思いをする選手も少なくありません。

この記事では、肉離れの仕組み・予防法・起きた時の対処法とその後の流れを、中高生やその保護者、指導者の方にもわかりやすくお伝えします。


肉離れとはどんなケガ?

肉離れとは、筋肉の一部が急激に引き伸ばされて部分的に切れてしまうケガのことです。


正式には「筋挫傷」とも呼ばれますが、スポーツ現場では一般的に「肉離れ」という言葉が使われています。

よく起こる部位

  • 太ももの裏(ハムストリングス)

  • 太ももの前(大腿四頭筋)

  • ふくらはぎ(腓腹筋)

  • 内もも(内転筋)

特に短距離走やジャンプ・急な方向転換をする競技(サッカー、陸上、バスケットボールなど)で多発します。

症状の特徴

  • 「ブチッ」「ビリッ」といった断裂感

  • 痛みで走れない、歩くのが困難になる

  • ふくらみや内出血が出ることもある

  • 触ると痛む“しこり”のようなものを感じる


肉離れが起こる原因は?

① 疲労の蓄積

練習や試合が続くと、筋肉が回復しきらないまま使われ続け、筋肉が硬く・もろくなることで損傷しやすくなります。

② 柔軟性の低下

ストレッチ不足や姿勢の癖により、筋肉が縮こまり、瞬発的な動きに対応できなくなることで断裂が起きます。

③ 急な動き

  • スタートダッシュ

  • 高くジャンプした後の着地

  • パスカットなどで急に切り返す動き
    こうした動きで筋肉が耐えきれず、断裂することがあります。

④ 準備不足

アップ不足や体の冷え、精神的な緊張で体がこわばっている状態も、肉離れの大きなリスクになります。


大会前にできる肉離れ予防法

1. 適切なウォーミングアップ

動的ストレッチ(体を動かしながら行う柔軟運動)を取り入れることが重要です。

  • ジョギング〜スキップ〜腿上げなどで体温を上げる

  • 股関節や膝を回すなど、関節の可動域を広げる

  • 急なダッシュやジャンプの前には必ず段階を踏む

冷房の効いた部屋から出てすぐ練習を始めるのは危険です。筋肉は「温めてから使う」が鉄則です。


2. 練習後のセルフケア

練習や試合後のケアが、疲労の蓄積を防ぎ、筋肉の柔軟性を保つカギになります。

  • ストレッチ:太もも・ふくらはぎ・お尻・股関節を重点的に(各20秒×3回)

  • 入浴:シャワーで済まさず、湯船につかって血行促進

  • 睡眠:疲労回復ホルモン(成長ホルモン)は深い睡眠中に出ます

3. 食事で筋肉を守る

  • 良質なタンパク質(肉、魚、卵、大豆)

  • ビタミンC(筋肉の修復に関与)

  • 水分と電解質(マグネシウム、カリウム)

「食事も筋トレの一部」と考え、トレーニング後30分以内に軽くでも栄養補給できると理想です。


もし肉離れが起きてしまったら

ステップ① まずは応急処置(48時間以内)

基本は「RICE処置」

  • R(Rest)安静にする
    無理に動くと悪化します。歩くのが困難なら松葉杖の使用も検討を。

  • I(Ice)冷やす
    最初の48時間はアイスパックや氷で1回20分程度、1時間おきに冷やしましょう。
    ただし、冷やしすぎは逆効果になることもあります。

  • C(Compression)圧迫する
    テーピングやサポーターなどで軽く圧をかけると腫れを防げます。

  • E(Elevation)挙上する
    患部を心臓より高く保つことで内出血や腫れを抑えます。


ステップ② 受診と評価

「大したことない」と自己判断して練習を再開すると、再発や慢性化のリスクが急上昇します。
痛みが強い、腫れている、歩くのが困難な場合は、早めに医療機関や接骨院を受診しましょう。


ステップ③ 復帰までの流れ

●軽症(痛みはあるが歩ける程度)

  • 約1〜2週間で復帰が可能

  • 痛みが取れた後はストレッチと筋トレを再開

●中程度(筋肉の部分断裂)

  • 2〜4週間程度の安静+段階的なリハビリ

  • 筋力低下を防ぐトレーニングを並行して実施

●重症(歩けない/へこみや内出血あり)

  • 1ヶ月以上の回復期間

  • 再発予防の徹底が必要

重要:痛みが引いた=治った ではありません。
柔軟性・筋力・可動域が回復して、ようやく「元通り」です。


試合に間に合うか?判断の目安

大会前にケガをした場合、多くの選手・保護者が「間に合いますか?」と不安になります。
その際は以下の3点を評価します。

  1. 痛みの程度と場所(歩行可能か/深部の損傷がないか)

  2. プレー中の動作にどこまで対応できるか(走る・蹴る・ジャンプ)

  3. ケガ後の経過(腫れが引いているか/柔軟性が戻っているか)

無理をして悪化させると、その試合だけでなく将来にも影響が出る可能性があります。
悔しい判断を迫られる場面もありますが、「次につながる選択」を支援するのも私たち専門家の役割だと思っています。


保護者の方へ:ケガを防ぐのは日常の声かけから

部活動の中高生は、つい頑張りすぎてしまうものです。
以下のような声かけが、ケガの早期発見や予防につながります。

  • 「今日はどこか張ってるところある?」

  • 「昨日より動きやすかった?」

  • 「最近よく眠れてる?」

また、本人が痛みを言い出しにくい時は、歩き方・姿勢・足のつき方などを観察してみてください。


最後に

最後の大会にかける気持ちは、本人にしか分からないほど強いものです。
だからこそ、ケガで悔しい思いをしてほしくない
その一心で、私たちは日々の施術・アドバイスに全力を注いでいます。

もし、張りや違和感を感じたら、大会の何日前であってもご相談ください。
「もっと早く来ていればよかった」と後悔する前に、できることはたくさんあります。

大切な一戦を、全力で、笑顔で、悔いなく迎えられるように。
接骨院三幸堂はその一助となれたら嬉しく思います。

監修:柔道整復師、栄養睡眠カウンセラー 後藤康之

当院へのアクセス情報

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